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「なんか微妙」な写真を量産していた頃の話
カメラを買って最初の3ヶ月、撮った写真が全部「なんか微妙」だった。ピントは合ってる、明るさもそれなりに正しい。でも見返しても全然惹かれない写真ばかり。RAW現像を覚えて色味をいじっても、何かが足りない感じがずっとあった。
友人に見せると「綺麗じゃん」と言ってくれる。でも自分ではなぜか満足できない。ふとしたきっかけで「構図」という概念を調べ始めたとき、長年の謎が一気に解けた。
写真の善し悪しの大部分は、シャッターを切る前の「どう切り取るか」で決まる。明るさやピントより先に、「何をどこに置くか」が写真の印象を左右していたのだ。
三分割法——これだけ覚えれば写真は変わる
構図の基本として一番最初に学ぶべきは、三分割法だと断言できる。それ以外は後でいい。
三分割法のルールはシンプルだ。画面を縦横それぞれ3等分して、合計9つのマス目を作る。そのとき生まれる4つの交点(格子点)のどれかに、写真の主役(被写体)を置く。それだけ。
なぜ真ん中に置かないのかと最初は思った。実際に試してみると分かる。主役が真ん中にいる写真は「記録写真」の印象が強い。証明写真や集合写真みたいな、整然とした印象になる。格子点に主役を置くと、視線が自然に流れる余白が生まれて、写真に動きや物語が出る。
たとえば猫を撮るとき、猫の顔を右下の格子点に置くと、左上に広がる余白が「猫が見ている空間」に見えてくる。猫が何かを見ている、何かを待っている、そういう物語が生まれる。同じ猫を真ん中に置いても、そうはならない。
三分割法を試して劇的に変わったbefore/after
カメラのグリッド表示をオンにした。ほとんどのスマホもデジカメも、設定でグリッドが表示できる。撮影画面に3×3の格子線が出る機能だ。これをオンにしてからの変化は劇的だった。
公園の桜を撮ったとき。以前は桜の木を画面の真ん中に置いていた。確かに桜は写っているが、ただ木が真ん中にある写真だ。グリッドを意識して桜を左3分の1に寄せて、右3分の2に青空を入れると、桜の向こうに広がる空の広さが伝わる写真になった。「春の晴れの日に桜を見た」という体験が画面から伝わってくる。
人物を撮るときも変わった。以前は顔を画面の中央に持ってきて撮っていた。顔を左上の格子点あたりに持ってきて、後ろにぼけた街並みを右下方向に広げると、その人がどこかの場所にいる感じが出る。背景が「余白」じゃなくて「文脈」になる。
日の丸構図——あえて真ん中に置く技術
三分割法が基本だと言いながら、日の丸構図(主役を中央に置く)も使える。ただし「意図的に」使う場合だ。
日の丸構図が効果を発揮するのは、主役の存在感を強く打ち出したいとき。古い建物の正面、シンメトリーな橋のアーチ、目力のある人物のアップ。中央に置くことで「これが主役だ」という力強いメッセージになる。
トンネルの中から出口を撮るとき、出口の光を画面の中央に置くと、暗いトンネルの壁がフレームになって光が引き立つ。これは日の丸構図が決まるパターンだ。「意図があってここに置いた」と見た人が感じる写真になる。
問題なのは、意図なく「とりあえず真ん中に置いた」写真だ。それが記録写真にしか見えない理由だった。
対角線構図——動きとダイナミズムを出す
三分割法に慣れてきた頃に取り入れたのが対角線構図だ。画面の隅から隅に向かって、線や動きが対角線状に入るように撮る。
川沿いの遊歩道を奥に向かって撮るとき、道を画面の左下から右上に向かって走らせるように撮ると、奥行きと距離感が強調される。「ずっと先まで続いている感じ」が出る。
カフェのカウンターを撮るとき、テーブルの端を対角線に沿わせると、パースが効いて空間の広さが伝わる。インテリア写真や食べ物写真でよく使われる理由がわかった。
電車のホームを端から撮るとき、線路を対角線に走らせると「旅に出る感じ」や「どこかへ続く感じ」が出る。風景写真で構図の広がりが足りないと感じたら、対角線を意識するだけで変わることが多い。
スマホでも全部使える
ここまで書いてきた構図のルールは、カメラに限った話ではない。スマホで撮る写真にも全部使える。むしろスマホのほうが、グリッド表示がデフォルトで設定できるし、画面が大きいので格子点を確認しやすい。
iPhoneなら「設定」→「カメラ」→「グリッド」をオンにするだけ。Androidも機種によって違うが、カメラアプリの設定内に「グリッド」か「ガイド線」の項目がある。
スマホのカメラで料理を撮るとき、料理を格子点に置いて、斜め後ろからの光が逆光気味に当たるアングルを選ぶと、一気に「映え写真」になる。アングルと構図の合わせ技は、レンズの性能より影響が大きい。
構図を意識すると「目が変わる」
構図を勉強して一番変わったのは、カメラを構える前の「見方」だった。街を歩いているとき、窓から外を眺めているとき、「これはどう切り取ればいいか」という視点が自然に出てくるようになった。
面白い光景に出会ったとき、まず「主役は何か」を決め、次に「どの格子点に置くか」を考え、それから「余白に何が入るか」を確認してシャッターを切る。この順番が習慣になると、カメラを向ける前に写真が「見える」感覚が生まれてくる。
三分割法だけで、写真の印象は劇的に変わる。機材を変えるより先に、構図を意識するほうが確実に写真は上手くなる。これは自分の経験で証明できた。
